第28回 福岡県吹奏楽コンクール 感想

ここ数年は結構波乱気味でしたが、今年の県大会は一部予想外ではあったけど想定内ではあったので、特に驚きはなかったなあという結果。順当なんじゃないですかね。

しかしコスモスコモンはハコが小さいですね。筑豊勢が低調なこともあり、しばらく福岡開催でよさそうな気がします。

以下素人感想。

東鷹 IV/乱世の神威 幸村(樽谷雅徳)

こんな課題曲あったかなあ?と思ったら4番だったわけで…。別の曲になってました。49人編成なのになぜかClが4本という謎編成はやっぱり不自然です。自由曲は頭の中でずっと\おやかたさまー!/ってBASARA的合いの手を入れながら聞きましたが、いっそもっとBASARAちっくに傾いてもよかったのでは。元気だけはよかったので、トップバッターとしてふさわしい演奏だったのではないかと。

筑紫台 IV/アパラチアの春(A.コープランド森田一浩)

Tp5、Tb6、Hr7、という超金管編成に驚いたわけで…。かといって両曲とも金管前面というわけでもなく、普通にバランスよかったのでは。自由曲は一昨年少人数ながら九州大会に出場したときと同曲、大編成で再度チャレンジなんでしょうか、木管の各ソロは音がまろやかで抜けがよくかろやかに響くので清涼感があり、この木管を釣り合わせるための金管として、力まずがならず無理せず発音した音色音質を持った音&それなりの音量を求めた時に、頭数を揃えるしかなかったのかなあと。知らんけど。もっと繊細な表現なり表情なりがあればいいのかなあと。終盤の弱奏のところ、前回は非常に緊張感溢れる演奏だったけれど、今回は安定感のほうが勝つ印象。

北筑 III/太陽への賛歌−大地の鼓動(八木澤教司)

ひさしぶりに県大会に進めてきたので一応期待していたのですが、期待した自分がバカだったわけで…。課題曲は自分が審査員なら「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ かいj」で聞くのやめますね。ここの主旋担当の中低音が楽譜読めないのか指が動かないのか合わせる気がないのかしらんけどすでにまったく吹けてないので、これ以降が吹けるわけないし。自由曲はFlの音程の悪さに度肝を抜かれ、完璧に音程がおかしいのに最後まで修正することなく吹ききっていた姿は、このバンドに「音程をあわせる」観念も欠落してることの証左。唯一の良心・Tp1番がぎりぎり出しゃばらないボリュームでがんばってた。

城東 IV/3つの交響的スケッチ「海」より 第三楽章 風と海との対話(C.ドビュッシー/佐藤正人)

支部よりはマシになってた自由曲はどうしてもドビュッシーに聞こえないわけで…。そもそもなぜドビュッシーを選んだのかと。バンドの音質からしてラヴェルでぎりぎり、ドビュッシーとか完璧アウトだろうと。おフランスサウンド最大要素が「混ぜ合わせた音」なんだけど、この混ぜ合わせた音やサウンドを作れるバンドじゃないと思うんだよね。実際作れてないし。
たとえばObが目立っていた繰り返されるあのフレーズ、入り方にしても鳴らし方としてもドビュッシー的表現ではないね。ObとFlを重ねて互いの音を混ぜながら響かせてた中間的な音色に表情を載せた繊細なフレーズのはずなんだけど、ソロに聞こえるくらいOb主Fl従な音量&音質のアタックで、背景のバンドからも浮き上がった鮮烈なフレーズにはドビュッシー風味のかけらも感じられない。
そして基本どこまでも緻密に合わせないといかん曲なのに合ってないよ。縦横、音色、パートからバンドまでのハーモニーバランス。合わせたうえで混ぜ合わせるべきところを、合ってないものを混ぜてもカオスになるだけなんでね。
代表になれるかどうかだけど厳しいと思うよ。できないとは言わないけど、この状態から合わせるには時間が足りないのでは。

飯塚 IV/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲(Z.コダーイ森田一浩)

ここの銀賞が本日最初のサプライズなわけで…。よくもないけど悪くもない課題曲、個性がありそうでないこのバンドらしいっちゃらしいけど、本当にそろそろきちんと芸風を決めたら?どういう音楽がしたいんだ?一向にわからんし伝わってこない。自由曲はとにかく低音がスッカスカで全然聞こえてこない。木管は細かい音符のとこもきれいに合わせて重ねてたけど、下支えがないから薄ら寂しく、音と音の間隙がやたらでかい。金管高音は萎縮しちゃってるのか首を縛られてるような音しかでてなくて「くじゃく」の豊かでのびやかな雰囲気を損なってるし。ミスったらどうしよう、怒られたらどうしよう、と顔色を窺いながら演奏してるのが見て取れて、指揮者と部員とが信頼しあってないっつーか人間関係をどうかしないといかんのでは。

修猷館 IV/復興(保科洋)

いちおう自分的に一番推しだったのに意外に点数が伸びていなかったわけで…。自由曲「復興」は演奏しやすいというか、ストーリー性があって表情をつけやすく、観客にもわかりやすく伝わりやすい曲だと思うんだけど、感情より理性が勝った演奏というか、もっとエモーショナルな部分も出していいのではないかと。ものすごく深く掘り下げてる部分もあれば(導入部のClとか)、あっさりしすぎてる部分もあって(Saxソロとか)、表現としてバランスが取れていないところが気になる。最初の1/4〜1/3だけは手が入ってるけど残りは時間切れ未だ手付かず的な感じなのかな。あいかわらずここのClは緊張感ある表現がお上手。

小倉 V/紺碧の波濤(長生淳)

同じような雰囲気の曲が並んでると思ったら同じ作曲者なわけで…。課題曲5番は初めて聞きましたが、ここが好きそうかつ選びそうな曲だなあと。善し悪しが判断できるほど曲への理解はないのですが、聞いてて「まだ終わんねーの?」と感じたので、表情の付け方など結構甘かったのではないかと。木管低音が始終カスカスパスパスしてて邪魔くさく、この手の止め音が多い曲の低音こそ響きをしっかり持たせないと。本当に同じような曲が並んでいるので、なにか工夫をしないとおもしろくないよ。まあそれが何なのかはわからんが。

精華女子 IV/ルイブージョワーの讃歌による変奏曲(C.T.スミス)

ちょっと精華せんぱいのサウンドを収めるにはコスモスコモンというハコは小さすぎたわけで…。鳴らしすぎじゃ!ホールサイズに合わせた音調節して!課題曲は支部の時に感じた局所的突出感もなくなったが、どこか開きっぱなしな垂れ流し感があって、好みではないかな。自由曲ルイブルですが、支部からの成長もあまり感じることができず、う〜んという感じ。聞いてると、頭で「うわっうまっっ!」って難フレーズとそれをクリアしてるバンドの技術に驚いて、でもその驚きがさめるとしばらく退屈な時間帯が来る。ぶっちゃけ各ソロの魅力が足りないんだよね。終盤Tpが立ち上がったところあたりからはたたみかけてくるので盛り上がっていくんだけど、そこらへん詰め足りないのではないかと。

門司学園 IV/シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」(福島弘和)

先に言うとくけど、おまえらんとこのバカ保護者を本当になんとかしろよクソが。場内アナウンスであれだけ丁寧に何度も注意やお願いがあったのになんで尊重しねえんだよ。我が子の演奏だけにしか興味がないなら別にそれでいいから即退場しろ。周囲に迷惑かけるなカスどもが。まじで門司学保護者の基地外率の高さは異常。人間の言葉を理解できない動物以下のゴミクズを場内に連れ込むのはやめてほしい。

という基地外にイライラさせられながらも、ここの銀賞が本日第二のサプライズなわけで…。技術的にも安定してるし、きれいに演奏してるんだけど、「高校生の」音やサウンドではなく「中学4年5年6年生」という印象を受ける。そこらへんの初心者だらけの下手くそバンドでも高校生が演奏したら「高校生の音」になってるのに、なぜなのか不思議なんだけど、ここのバンドは高校生の音に聞こえないんだよなあ。別に悪いことではないし、特徴であり個性だと思うのだが、その個性となぜかうまく折り合いをつけることができてない。シャープでクールな曲を選んでみました→小さい子が表面だけなぞって大人の真似をしてるみたいな上滑りな表現になって違和感ありあり。感覚的な表現しかできないけど、葛藤がない音で、洞を覗いてるみたいな空虚さがあるんだよなあ。なにもひっかからない、ぽっかり感。

福岡中央 IV/三つのジャポニズム真島俊夫

変な解釈や、らしさなどを入れず、あたりまえのことをあたりまえにやろうとして功奏したわけで…。Perがよかったらしい。

嘉穂 II/青銅の騎士(R.M.グリエール森田一浩)

課題曲の途中で複数の審査員がスコアをめくって何かを確認していたわけで…。なんか事故があったのか?打楽器をひな壇最上段に、でも課題曲のシンバルはあの音じゃなくね?自由曲にはあの音でよかったけど課題曲にはこれじゃない感。これじゃない感は演奏全体にも感じられて、基本豊かに歌う系のバンドのはずなのに、手足をもがれたような、すごく小さい演奏に聞こえてしまって、やたら窮屈でした。

中村女子 II/歌劇「アンドレア・シェニエ」より(U.ジョルダーノ/G.ヴァニネッティ)

例年まったく良さが理解できないのに今年は違ったわけで…。すごくいい感じでした!とくに課題曲2番、現時点での自分的正はここの演奏ですね。2番はマーチなんだけどいわゆるマーチっぽく聞こえたらあかん曲だと思うんですよね〜なんとなく。自由曲は初めて聞く曲でしたが非常に楽しく聞けました。豊かで落ち着きと芯の太さがあってよい感じ。

東筑 III/交響詩スパルタクス」(J.ヴァン=デル=ロースト)

本日第三のサプライズがここの次点という成績なわけで…。課題曲で音程が?なところがあって、そこで聞くのをやめちゃったんですけどね。

宗像 IV/復興(保科洋)

ちょい緊張ありましたか、固い印象があったわけで…。情緒的なノリがある団体さんが緊張すると音伸びが足りなくてちょっと残念なことになりますね。ここはとにかく持ち替えしてたSax子さんがめっちゃ上手かった。聞かせどころの「復興」ソロ部分はもっと前に出てきてもよかったと思うなあ。

直方 IV/交響曲第4番より 終楽章(P.I.チャイコフスキー/M.ハインズレー)

楽譜&譜面台なしの全員暗譜なわけで…。譜面台がないと音が前に飛ぶんだなあと。

大牟田 III/「鳳凰」〜仁愛鳥譜(鈴木英史)

くっそ音のでかい大牟田ちゃん復活の予感なわけで…。あーうるさい!あー音でかい!と感じたんだけども、それって数年前のバリバリやってた大牟田に対して常に感じてた印象で、ここ数年落としてた調子を取り戻してきたんじゃないのかなと思うとちょっと嬉しいんだけど、やっぱりうるさいよ!特に打楽器!バランス考えろ!まあサンパレスだといいのかもしれないけど、それならもっといっそバンドもガンガン音出したらいいわ。おもいきりやっちゃってください。

北九州市立 V/鼓響…故郷 I童歌 II奏春 III鼓響(天野正道

これまた賑やかな演奏だったわけで…。課題曲はまさかの5番、でも結構よかったような?5番って結構楽しい曲?なんですかね。結構楽しく聞けました。自由曲もドンスカやっててよかったんじゃないでしょうか。ゆっくりパートはしつこくべったりしすぎかなーとか思いましたけど。

福岡第一 I/「交響曲第3番」より(J.バーンズ)

なんか普通のバンドになっちゃったなーという印象なわけで…。課題曲は全然練習してないだろwと思わせるほど手付かずだった支部よりはマシになってたけどそれでも吹けてない部分があって、昨年も感じたが、明らかに突発的ではない、個人的な技術不足によるミスや綻びが存在しており、少し前では考えられない現状に驚く。自由曲はそれなりに纏めてたけど、やはり無理してるところが多くてきついなあと。この低迷は指導者云々ではなく、部員数減という構造的な部分に要因があると思うので、ちょっと復活の糸口が掴めない感じ。

結果

珍しく予想が大当たりでしたが、代表は波乱なくという感じ。ただし、金賞校予想となると全然ダメでしたね。講評で、審査員が爆音にびびってたわ〜的な発言があったので、飯塚・門司学・嘉穂・第一あたりの歌う系きれいめ系を評価するのかなあと思いきや、そこらへん全部落とされましたし。表現とかよりも、楽譜きちんとやバランスなどテクニカルな方向を評価していたのかなあと。

感想とか

筑豊の低調っぷりが気になりますね。中学も散々な結果で地盤沈下が目立ちます。やるべきことをやってないところを無理矢理辻褄合わせようとして無理無理感がありました。発音の技術がまずいのか、よく鳴ってる音がなかったなあと。

反対に福岡は毎年レベルが上がっていて、やるべきことをきちんとやってるバンドが増えてきてる印象。音程を合わせる・楽譜通りに吹く・バランスよく構成する、こういうあたりまえのことを中学から心掛けていて(だから中学のレベルも上がってる)、基礎的な下支えや意識付けを持って高校に進み、より高いレベルのやるべきことにチャレンジしている感じ。ただし、やるべきことをやったうえで次にどう表現していくか、個性を作っていくか、何を伝えていくか、という段階に入っていくべきところが、今のところ単に最低限やるべきところをやっただけで金賞という過大評価を与えられ、そこで満足してるのか次の段階に進まず、あーうまく吹いたねよかったね的な団体が多いんですけど。

こういう吹いてるだけのバンドという存在には個人的にまったく興味がないのでふーんどうでもいいやって感じです。たとえ演奏が荒くても下手くそでも、演奏してる側の何かがこっち側まで伝わってくる音のほうが楽しいのですよ。ミスなく吹けました、という音を聞いたところでどないせえっちゅう話です。

やるべきことをやったということは、スタートに付くための最低限の準備をすませただけなのです。やるべきことをやったその先にあるものを聞かせてくれたらなあと思います。