公務員ではなく音楽家として

橋下市長、市音楽団員の配転認めず「分限免職

大阪市橋下徹市長は5日、市が同日発表した施策・事業の見直し試案で「2013年度に廃止」とされた市音楽団の音楽士36人の処遇について「単純に事務職に配置転換するのは、これからの時代、通用しない。仕事がないなら、分限(免職)だ」と述べた。

市改革プロジェクトチームの試案では、音楽団を「行政としては不要」としつつ、市が正職員として採用してきたことから、「配置転換先を検討」としていたが、橋下市長は「分限(免職)になる前に自分たちでお客さんを探し、メシを食っていけばいい」と述べ、配置転換を認めない意向を示した。

市音楽団は1923年に発足。国内唯一の自治体直営の吹奏楽団で、市公式行事での演奏や有料公演などを行っている。市は公演収入などを差し引いた運営経費や人件費として年約4億3000万円(2010年度)を負担している。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120405-OYT1T01403.htm

このニュースに対して音楽スキーな人たちは「文化の破壊だ!」「歴史ある楽団なのに…」「免職された後の生活のことも考えてやれよ!」「独裁者!」と脊髄反射でお怒りかと思います。

自分としては吹奏楽団が自治体組織直属であったり楽団員が公務員である必要性を感じないので、公益法人でも外郭団体でも、おおっぴらに稼げて採算がとれるような組織や団体を新設したらいいのにという印象。芸術家は金儲けなんて考えなくていい、支援後援を貰って当然、そういう補助金や企業メセナに頼って営業努力を怠った団体がバブル以降不景気円高リーマンショックそのあたりの影響でなんぼ潰れてきたかって話ですよ。採算取れるよう自力で運営できんのかいと。世事に疎いのんびり屋の芸術家さんたちも、そろそろ採算のとれる運営と裾野拡張については本気で考えたほうがいいと思います。じゃないといつ何どき潰れるかわからない、それくらい厳しい世の中になっているのでは。

「単純に事務職に配置転換するのは、これからの時代、通用しない。仕事がないなら、分限(免職)だ」

まあ通用しないでしょうね。今どき政令市の一般職員の出身大学は国立なら最低駅弁宮廷当たり前、私立もそれに準ずるランクという高学歴集団なんだけど、配置転換してやれよと言ってる人たちは、もしかしてこの人らが同レベルで働けるとでも思ってるわけ?いやいや無理でしょう。じゃあ誰もできるような簡単な業務に回す?そういうのは給与の安い臨時職員がやってますから、正職員はやりません。じゃあ現業にいく?もっと無理でしょう。現業ってこういう職ですし。

  • 公用車・バスの運転手、電車の運転士、整備士
  • 清掃作業員
  • 給食調理員
  • 学校用務員
  • ごみ収集作業員
  • 道路補修作業員
  • 設備保安員
  • 電話交換手
  • 守衛
  • 斎場作業員

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E6%A5%AD

その現業もコネとか縁故とかそういう謎ルートで入職した能力の低い職員を切ってるのが今の大阪市なわけですけどね。

でもさ、そもそも楽器しか持ったことがないような人たちに一般事務でも現業でも演奏する以外の仕事ができるわけ?できないよね?なら配置転換されるより分限免職されてでも音楽の道を続けていったほうがいいのではないかなあ。だって公務員として続けたかったら事務職や力仕事やれよって芸術家に対して侮辱なんじゃないの?だから準備期間として2013年度まで時間をおいて、他団体に転職したり、別組織を創設したり、いろいろ進路を選ぶ猶予があるんじゃないの?

運営経費や人件費として年約4億3000万円という数字が、経費として妥当なのかどうかはわかりません。調べたら「団員数(平成22年度). 本務職員44名(音楽士40名、庶務4名). 嘱託職員1名(音楽士1名)」ということなんで、36名がすべて正職員なら人件費だけで結構いっちゃうんじゃないかなあとは思いますけどね。
ちなみに臨時職員人件費については、最近の採用時条件によるとこんなかんじ。元記事が削除されているので、キャッシュですが。

大阪市教育委員会事務局任期付職員募集要項

1 主な職務内容
大阪市音楽団にて、吹奏楽演奏業務(クラリネット)・吹奏楽指導業務・演奏関連業務(演奏会企画・広報、楽譜作成等)に従事していただきます。

2 制度概要
地方公務員の育児休業等に関する法律(平成 3 年法律第 110 号)第 6 条に基づく任期付職員

3 採用人数
1名

4 任用期間
平成 23 年6月 1 日から平成 23 年 12 月 31 日
ただし、育児休業取得者の都合により、育児休業期間が延長になった場合には、任用期間についても延長することがあります。

5 受験資格
次の条件を満たす人が受験できます。

(1)音楽大学卒業程度のクラリネット演奏能力を有する者
(2)地方公務員法第16条(欠格条項)に該当しない者

6 勤務条件等
(1)勤務場所:音楽団
(2)勤務時間:9 時 00 分〜17 時 30 分
(事業により勤務時間帯が変更される場合があります。)
(3)休日:本務職員に準じる(ローテーションにより決定)
有給休暇有(その他特別休暇も有)
7 給与
任期付職員
月額 188,600 円(地域手当を含む、平成 23 年4月現在)

※昇給・昇格はありません。
※給料月額については本務職員同様減額措置の対象となる場合があります。
※その他、各種手当(扶養手当・住居手当・通勤手当・超過勤務手当)があります。

8 期末勤勉手当・退職手当

本市職員基準により支給します。


大阪市教育委員会事務局任期付職員募集要項 - 大阪市音楽団(キャッシュ

大阪市教育委員会事務局任期付職員募集要項

1 主な職務内容
大阪市音楽団にて、吹奏楽演奏業務(打楽器)・吹奏楽指導業務・演奏関連業務(演奏会企画・広報、楽譜作成等)に従事していただきます。

2 制度概要
地方公務員の育児休業等に関する法律(平成 3 年法律第 110 号)第 6 条に基づく任期付職員

3 採用人数
1名

4 任用期間
平成 23 年 11 月8日から平成 25 年3月 31 日
ただし、育児休業取得者の都合により、育児休業期間が延長になった場合には、任用期間についても延長することがあります。

5 受験資格
次の条件を満たす人が受験できます。

(1)音楽大学卒業程度の打楽器演奏能力を有する者
(2)地方公務員法第16条(欠格条項)に該当しない者

6 勤務条件等

(1)勤務場所:音楽団
(2)勤務時間:9 時 00 分∼17 時 30 分
(事業により勤務時間帯が変更される場合があります。)
(3)休日:本務職員に準じる(ローテーションにより決定)
有給休暇有(その他特別休暇も有)

7 給与
月額 188,600 円(地域手当を含む、平成 23 年9月現在)
※昇給・昇格はありません。
※給料月額については本務職員同様減額措置の対象となる場合があります。
※その他、各種手当(扶養手当・住居手当・通勤手当・超過勤務手当)があります。

8 期末勤勉手当・退職手当
本市職員基準により支給します。

大阪市教育委員会事務局任期付職員募集要項 - 大阪市音楽団(キャッシュ

非常勤嘱託職員採用試験要項

1 採用職種
大阪市音楽団 非常勤嘱託職員

2 採用予定人数
1名(選考試験による)

3 採用予定期間
平成24年4月1日から平成24年7月31日

4 受験資格
次の条件を満たす人が受験できます。
(1)音楽大学卒業程度のクラリネット演奏能力を有する者
(2)地方公務員法第16条(欠格条項)に該当しない者

  • -

10 業務内容
(1)演奏業務(クラリネット)
(2)吹奏楽指導業務
(3)その他演奏・指導に関わる業務

11 給与・勤務条件
(1)給与 平成24年2月1日現在 月額286,000円となっています。
(2)勤務日数 週4日勤務(月曜〜金曜日のうち4日間勤務)休日は土・日・祝日を基本とするが、演奏会の日程により休日を振り替えていただくことがあります。

(3)勤務時間 9:00〜17:15
演奏会 合奏練習等の都合により変則勤務となる場合がある
(4)有給休暇 有(その他特別休暇も有)
(5)通勤手当 別途実費に応じて支給
(6)社会保険 健康保険、厚生年金保険、雇用保険労働災害保険適用

嘱託採用要項(キャッシュ

クラリネットまじ足りねーって雰囲気ですね。最後募集は平成24年3月1日付、この募集だけ給与高めなのはう短期採用だからでしょうか。

この月額給与188,600円というのは大阪市の臨時職員としての最低賃金っぽいです。一流の演奏家でも、窓口で薄らぼんやりしてる職員でも給料一緒ですよ。これもバカにした話ですわ。でも同じ職位にあるものには同じ給与なのが「公務員」ですからね。

それなら、公務員ではなく音楽家としてメシを食って生きていくのがいいのではないでしょうか。

「分限(免職)になる前に自分たちでお客さんを探し、メシを食っていけばいい」

この言葉は、芸術家たる自分たちの生きていくべき道を思い出せ、と自分には聞こえましたけど。

「聖域なき改革」と現市長は日本の誰もがアンタッチャブルだったところにすら改革の手を伸ばそうとしてるわけで、民間委託ができる業務の部署を芸術に関わるからってだけで神聖視はせず、除外するような甘いことは言わないはず。聖域化できるほどの業績があり、その業績を市民が認知しているなら自然と継続しましょうという声が市民から多数上がるはずだし、そんな楽団どうでもいいわ削減は順当という声が多数なら、その程度の活動しかやってなかったってことじゃないのかな。一部ファンやマニアにだけにしか継続を臨まれない市音楽団が、税金で支える市民楽団としてふさわしい存在なのかどうか。だからこそ、一部だけではなく、みんなに支えてもらえるように芸術分野の裾野拡大って必要なんですよね。

芸術に関わる団体は自営自立していくべきだと思います。よその都合でなくなるなんて本当に悲しいですしね。