第38回マーチングバンド・バトントワーリング全国大会九州予選 第15回全九州バトンフェスティバル・マーチングイン九州2010

こっちのマーチングの大会を初めて見たのですが、うーん。やっぱりダメでした。

音楽効果・視覚効果・管楽器の技術・打楽器の技術・動きの技術という要素について採点してるようですが、サウンドが酷かったり、動きが揃ってなかったり、セットが貧乏くさかったり、衣装センスが壊滅的だったり、ガードがお遊戯だったり、各要素のレベルが低すぎてムカムカしてくることが多く、楽しいとか面白いとかいうポジティブな感想をなかなか持てないのです。各要素についてそれぞれの最高のものを見聞きした経験がある者にとっては、未熟で稚拙なものにしか映らない。

べつに各要素にプロ並みのクオリティを求めているわけではないのです。らしく見えるようにそれっぽくうまいことやれよ、ってことなんです。演奏も動きも決めどころをしっかり決めればまとまってるっぽく見えるし、ダンスレベルに達してなくてもダンスっぽく動けばダンスに見える。総合的なパフォーマンスとして成立する最低限のレベルに簡略化しデフォルメしてエッセンスだけ残したものをマーチング風味でアレンジしておけば、ニュアンスを酌み取った見てる側の想像力が適当に補完して、それとして勝手に見立てるわけですよ。舞踏会や不思議の国やブロードウェイそのものじゃなくても、舞踏会っぽいとか不思議の国っぽいとかブロードウェイっぽい、そういう「っぽい」ところだけ見せてくれれば細かいところはどうでもいいのです。ダンスなんか踊れなくていいのです。無理にディテールまで凝る必要なんかないのに、変にリアルさを出そうとしてるのが中途半端で貧乏くさいのです。

ビジュアル的には色の使い方をもうちょっと考えればいいのにと。たとえば、バンドユニフォームとガード衣装・フラッグ・セット類の色の組み合わせ。美術の時間に色相環とか彩度明度暖色寒色補色アクセントとか習ってますよね。色と色面積、色相と彩度明度が及ぼす視覚効果、そのあたり上手く利用して効果的に色の組み合わせて、サウンドや動きに加えて場面を演出すれば視覚聴覚に訴えるパフォーマンスになると思いますが、なんかそのあたりを考慮して色彩構成しているようには感じられない。このあたり理論で対応できるのでぶっちゃけセンスがなくても効果はだせますし、取り入れてみるのも一興かと。

以下素人感想。サイド席から見たので音も動きも中途半端、ひとつのショーとして見てどう感じたか的な感想で、このブログ史上最高のど素人感に溢れている気満々。

福岡大学附属大濠高等学校吹奏楽

カッパドキアなのにこんな土人衣装でダレイオス大王的にどうなのよと思うのだが、男なら裸上等ッスよね!ガードの動きはジムナスティックというか徒手体操的というか、キビキビハキハキしたメリハリ感があり、ふたりが密接してライフルぶん投げたところあたりの動きも面白かった。自分たちのいいところや特徴をわかったうえで、前面に押し出してるスタイルはすばらしいと思うね。
ただ、本当にブラスの演奏が酷くって泣ける。マジでもうちょっと丁寧にがんばれよと。

専修大学玉名高等学校マーチングバンド

以前から評判だけは聞いていて、かなり期待して演技を見たのだが、こういうのがこっちマーチングではいいってことになっているんだとしたら、自分にはどこがいいのかよくわからなかった。
ブラスとバッテリーに関してはふうんっていう感じ。DCIっぽくてすばらしいんですか?すみませんDCIとか知らないし。タカタカ早いパッセージとかどうなん?動きながら吹いてるにしては、マーチングにしては、というエクスキューズ付きならすばらしいのかなあ。あるいは正面席で聞けば。庭先のプランターを並べてる台っつーか、観光地の集合写真を撮るときの踏み台っつーか、可動式の床几みたいなのが登場して、ブラス隊が上に乗ったり思い思いのポーズで演奏しているんだけど、そのポーズが修学旅行のクラス写真撮影で整列できないヤンキー校のバカ生徒みたいで全然格好良くなかったのは単に見た角度の問題であって正面から見たら決まってたのかもしれない。動かしたときにゴロゴロ音だしてうるせーってのも平気なのかもしれない。でガード?これ豚?海モチーフだから鮭の切り身?かまぼこ?なんで単色でもっさいライン?裾どうした?相撲コントの着ぐるみにしか見えないうえ、体型が不細工すぎ+身体固すぎで動けてないのも気にならないのかもしれない。
本当にこういうのがいいの?すばらしいの?このセンスがマーチング的にすばらしいのなら、一生マーチングを理解できなくてかまわないヨーとは思いましたが、諦めたらそこで試合終了なので、もうちょっと勉強してみますわ。

佐賀学園高等学校吹奏楽

重苦しくもっさり感溢れるガードの衣装と動きが酷すぎる。衣装はニュアンスだけ取り入れた○○ちっくな感じさえあれば充分なわけで、なんでリアリティ(失笑)を中途半端に追求してるのか意味がわからない。もっさりドレスはバッスルでふくらましてトレーンが長めだから、何度も踏んでた長い裾の前丈をバッサリ膝上まで短くして足を出して、白ニーハイ+飾りつき黒シューズみたいに若々しくデフォルメしたらどうスかね?そして袖は切れ。いらねーよあんなもっさりもさもさ袖は。そしてやる気なさげに中途半端にちんたら動いてるメンバーが気になるわけで、せめて胸を張って姿勢をよくしてくれないかなあと。
「仮面」をテーマに構成された曲メドレーで、「仮面の男」フレーズががいい感じなのだが、この曲は一般に周知されてる曲なんだろうかと心配になった。しかもハチャトゥリアン「仮面舞踏会」も結構長い尺で使われてて、記録媒体からカットされる曲を使うのはもったいないなあと。打楽器系は空気。フラッグは中盤のモザイクみたいなやつがきれいでしたが他は微妙。

福岡県立北筑高等学校吹奏楽

悪いとは思わないけどいいとも思わないというか、各所に演じ手側の意図はあるんだろうけどわかりにくいというか、うまく伝わってこないので見てて???なミスマッチ感ばかりで戸惑う。たとえばなんで不思議の国のアリスガーシュインの曲でやってるのか意味がわからない。ガード連中がアリス世界のどんなキャラクターや場面を表現してるのかがわからない。最前面に透過度高めのでかいフラッグを立ててフィールドを隠しているのか意図がわからない。ここはこうなんですよーといちいち説明しないと正確な意図や意味が伝わってこない演出なんて失敗だと思うのだが。アリス世界なんてアリスうさぎ猫帽子屋トランプ類あたりのアイコンを並べるだけで充分理解できるのに、音やガードがぶち壊してる気がする。
サウンド面はブラスの音がでかすぎて、これバッテリーとバランスとれてるのか?と心配するレベル。動きは特に破綻なくそれなりにまとめてるんじゃないのかなあと。ガードさんも動き自体はきちんと見せてるなあという印象。
いろんな理解しづらい面に加えて、ウサギのかぶり物の耳が短いところでなんかコイツの顔思い出してしまって、ひとりで勝手にイラッとしてた。すまん。

                ハ        _
    ___         ‖ヾ     ハ
  /     ヽ      ‖::::|l    ‖:||.
 / 聞 え  |     ||:::::::||    ||:::||
 |  こ ?  |     |{:::::‖.  . .||:::||
 |  え      |     _」ゝ/'--―- 、|{::ノ!
 |  な 何   |  /   __      `'〈
 |  い ?   ! /´   /´ ●    __  ヽ
 ヽ      / /     ゝ....ノ   /´●   i
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嶋田学園飯塚高等学校吹奏楽

演奏については途中のソロも含めてサウンドがすばらしかったんだけど、同じようなフレーズの繰り返しの曲調で正直飽きた。ただ、明らかに音程が外れた酷い音のバンドよりも低い評価を受けてるとかっていう採点基準がよくわからないんだよなあ。
田舎っぺ大将の大ちゃんというか剣道着(にしか見えない衣装)を着た田舎っぺ女子が都会へ出て、一転派手派手衣装に!って展開らしいけど、色味だけで派手さを演出しようとしても目立たないしわかりにくい。単体で見るとキラキラなのだが俯瞰で見ると全然派手でも目立つわけでもなく、視覚効果による演出という面ではうまくなかったかと。ガードの動きとフラッグあたりの手具・セットを連携させた、目をひく場面づくり、目で見てわかりやすい演出が必要だったのでは。少人数枠を神村と争って敗退したってことなんだろうけど、ビジュアル的な演出不足さで神村と差がついたという気がした。

八女学院中学・高等学校吹奏楽

ここよかったんだけどなあ。自分は結構好きだった。演奏面もそこそこ吹けてたように思ったし、ガードの動き、スツールを使ってのガードとバンドのスイッチなどの演出も面白かったし、ところどころあらーという残念なところがあったけど、これは酷いと感じるような大穴もなかったけどね。
バンドのユニフォームが赤黒で、ガードの衣装もピンク系、多用していたスツールが紫系という類似色範囲内のセットで、それならフラッグには必ず補色を持ってくるとかでアクセントをつけないと、フィールド内が類似色同系色で埋め尽くされて締まりがないというか。いちばんきれいだったのは前方バンド後方ガードでスツールに腰掛けて黄色っぽいフラッグを振り回してたシーンかな。

大牟田高等学校吹奏楽

自分的にはここが一番評価。ブラス、ピット、バッテリー、ガード、動きや演奏、すべてにおいて一定ラインを越えてたのでマイナス感がなかった。今期いろんな大牟田を見たけど、今回がいちばん大牟田っぽかった。バッテリーがドンスカやってるところとか、大牟田はこうだろ!って感じ。
ガードの衣装の緑色は、春の芽吹きの緑というより初夏くらいの濃い緑で「アパラチアの春」にはちょっとイメージ違うかなあと。ガード男女の絡みシーンもあったけど、きちんと演じてパフォーマンスに徹する姿もすばらしい。ああいう場面でひとりでも照れる奴がいると見てる方が恥ずかしくなるからなあ。自分の席からは指揮者さんの顔を確認できたのだが、すごく楽しそうな良い表情をしながら全身で振ってて、見てるこっちまで楽しい気分になった。正面席で顔が見えなかったお客さんざまあw

神村学園高等部吹奏楽

また切れる?またまた切れる?と曲や演技がブツ切れ構成なので集中して見ることができない。みんなでフラッグ回すお(^ω^)とか局面ごとに見るとおもしろ場面が多いので、途切れさせずうまく演技編集してほしいところ。持ってた太鼓を下ろしてピットに据え付けて叩いてたけど何か音効的な意味があったのか?普通にピットに和太鼓用意して叩いた方が転換も速いし音もいいのに。もっと演技の流れを大切にすればいいのになあと思った。
デザイン面ではここが一番評価。「元禄」という選曲に合わせた和物意匠が非常に特徴的で、和服ちっくなガードの衣装のデザインと扇との色味具合、その扇をパシッと鳴らしながら開くところとか、ニヤリという感じ。そして背後のパネルやラストにドーンと登場した長いフラッグの美しさがすばらしい。側で見ると描いてるところと和布を張ってるところがあって凝ってるなあと。あれ欲しいわw 仏間に飾るし。

バッテリーとか

片足を斜め45度に出して体重かけて身体を倒しながら叩くというポージングばっかりされてもね〜。バッテリーの物まねしま〜す!と、このポーズをとれば物まねが成立しちゃう、類型的なスタイルつまんないです。

ガードとか

身体を使ったパフォーマンスには踊り=ダンスと、体操=ジムナスティックという空気感を出す動きと空気を切り裂く動きとで両極に位置していて、ガードのパフォーマンスとしてフラッグやライフルなどの手具が介在しているときは、ダンスでもジムナスティックでもないガードというニュートラルなポジションにあるという印象。たとえばフラッグを持っていれば旗振りパフォーマンスという独自スタイルになり、成立すると。

ただ、ガードの動きにダンスかジムナスティックどちらかのエッセンスを加えて、より美しく見せましょうという味付けをするときには、どちらかの極に振れるため柔軟性が必須となってくると思うのです。今回、ダンス的な振付を取り入れたものの、柔軟性をおろそかにしているため非常に中途半端で見苦しい状態になっている団体がありました。

個人の体型や骨格に差異はあれど、肉体を使うパフォーマンスを行う者としての基礎練習をチームで積んでいれば、筋肉のつき方や身体の締まり具合という見た目、柔軟性や関節の可動域など動きが似通ってくるはずで、そのあたりにムラがあるガードチームは柔軟運動やストレッチなどの基礎練習を軽んじていることがわかります。もうフィールドに登場した時点で、あーもうこりゃダメだとわかるし、案の定ダメだったし。

ダンス寄りのパフォーマンスがしたければそれなりの身体を作ること、柔軟うぜえとか思ってて身体は固い足は開かない上がらないならダンス的な要素はスッパリ切り捨てればいいだけ。フラッグやライフルを回したり、フィールド内を走り回る動きであれば、特にダンス要素なんかいれなくても見映えのいい動きやパフォーマンスは充分できると思うんですけどね。

それから、ダンス的な表現を取り入れるならぜひ「身体を引き上げる」ことを前提にして欲しい。バレエやってる人ならうるさく言われてると思いますが、見映え良くしたいのなら身体の引き上げは必須。実際にできてなくてもいいのです。意識するだけでも見た目が違うし、体型も変わってきますから。ぜひ。

審査結果とか

よかったのは大牟田と八女学院。その次が北筑と佐賀学園。専玉は理解不能。飯塚と神村なら飯塚。という自分の評価や感想と審査結果とが全然違ってて、別の星に来てるんだなあとしみじみ感じました。
採点については先に挙げた5要素について100点満点で採点しているらしいのですが、なにをもってよしとしているのか基準がよくわかりません。他の要素についてはわからなくてもせめて音ならなんとか!と分析しようかと思いましたが「管楽器の技術」の評価点数や順位が一番理解不能でしたー(ノ∀`)アリエネー サウンドの良し悪しとかって座奏だからマーチングだからで基準が変わるものではないし、変わってはいけないんじゃネーノって思うんですけどね。

たぶんもう一回くらい大会を見て、やっぱりダメだと感じたら、こっちのマーチングについてはキッパリ諦めることにします。